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2025.12.10

Designship2025イベントレポート:言葉の力が紡ぐ「新しい“当たり前”」

今年も2025年10月11日(土)と10月12日(日)の2日間に渡り、日本最大級のデザインカンファレンス「Designship2025」が開催されました。株式会社レアゾン・ホールディングス(以下、レアゾンHD)は、デザイン部ビジュアルコミュニケーションユニット(以下、VCユニット)のメンバーが中心となり、オリジナリティ溢れる体験型ブース『REAZONRECORDS(レアレコ)』を出展。さらに、1日目は同ユニットアートディレクターの山口暁亨(やまぐちあきなが)氏、2日目はディレクター兼プロダクトデザイナーとして活躍する首藤舞央梨(しゅとうまおり)氏が登壇しました。 本記事では、多くの来場者で賑わったブースの様子と、首藤氏による登壇「『新しい“当たり前”を作り続ける』ためにデザイナーができること」のレポートをお届けします。

「自分だけの1枚」を生み出す体験型ブース『REAZONRECORDS(レアレコ)』

弊社が出展したのは、VCユニットの多様性を表現した『REAZONRECORDS(レアレコ)』です。

このブースは、VCユニットのカルチャーを体現したものです。VCユニットには、ディレクター、プロダクトデザイナー、ビジュアルデザイナー、エンジニアなど、多様な専門性を持つメンバーが在籍しています。それぞれが異なる考え方やスキルを持ち寄り、議論し、一つのプロジェクトを創り上げていきます。

そんな多様な"音"(個性やスキル)が集まるVCユニットチームは、様々なジャンルのレコードが並ぶ「レコードショップ」のようである、という着想から、この『REAZONRECORDS』は生まれました。

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このブースでは、「自分だけのレコード」を楽しむ体験ができます。

レアレコ作成プロセス

  1. 職種を選ぶ:様々な職種からテーマとなる職種を選択
  2. タイトルを書く:即興で「レコードタイトル」をつける
  3. 好きな音楽ジャンル選択:好きな音楽ジャンルを選択
  4. 作成:世界に一つだけの「レアレコ」ジャケットが完成

完成した"レアレコ"のジャケットデザインは、ステッカーや歌詞カードといったノベルティと共に、QRコードとして来場者にプレゼントされます。

さらに、このQRコードをスマートフォンなどで読み込むと、特設の「REAZON RECORD GALLERY」サイトにアクセスできます。サイト上では、ご自身が作成した"レアレコ"が陳列され、選んだテーマやジャンルに沿った音楽が再生されるという仕掛けも。

「ジャンルもスタイルもこだわりも異なるけれど、どれも誰かにとっての一枚」。このコンセプトの通り、ブースでは終始、自分だけのタイトルを考え、ユニークなジャケットの完成に一喜一憂する来場者の皆様の姿が印象的でした。

さらに後日、来場者が作成した作品の中から優秀なものが選出されるレアレコ大賞が発表される予定となっており、イベント後まで楽しみが広がる企画となっています。

実際にブースに来てくださった方が作ったレアレコは以下のサイトで見ることができます。さらに、Xで「#Designship2025」「#レアレコ大賞」「#REAZONRECORD」と検索すると、投稿をご覧いただけます。

登壇レポート:『新しい"当たり前"を作り続けるためにデザイナーができること』

首藤 舞央梨

しゅとう まおり

株式会社レアゾン・ホールディングス/デザイン本部/ビジュアルコミュニケーションユニット/ディレクター/デザイナー

福岡県出身。2023年4月、レアゾンHDに新卒入社。デザイン部ビジュアルコミュニケーションユニットにて、ディレクター/プロダクトデザイナーとして、ブランディング業務や新規事業のデザイン業務に従事。

イベント2日目は、弊社VCユニット所属の首藤氏が登壇しました。

登壇テーマは「『新しい“当たり前”を作り続ける』ためにデザイナーができること」。弊社のミッション「新しい“当たり前”を作り続ける」に、首藤氏が自身の業務を通じてどのように向き合ってきたかを、入社から2年半の軌跡と共に語られました。

登壇は、彼女自身の「目標」についての話から始まりました。

「『〇〇さんがいるとなんかうまくいく』そんな人っていますよね」

首藤氏は、社内でプロジェクトが円滑に進む様子を目の当たりにする中で、「『首藤がいるとなんかうまくいく』状態を作ること」を自身の目標として設定したと語ります。それは「え、あのプロダクトも、あのプロダクトも首藤さんがデザインしているの?」と言われるような、当たり前に影響を与えるデザインを多く作ること。

しかし、それは決して一人で成し遂げられるものではなく、多様な専門性を持ったメンバーと協働してこそ実現できるものだといいます。

では、多様なメンバーが集まるプロジェクトにおいて、事業を前に進めるために、そして「新しい当たり前」を作るために、デザイナーには一体何ができるのか。

彼女が模索した2年半のプロジェクトへの取り組み方は、以下の通りでした。

経験から見出したデザイナーの役割:「対話」を生むための"共通言語"

首藤氏が「新しい当たり前」を作るデザイナーの役割として見出したもの。それは、「言葉」を軸に据えることでした。彼女は、キャリアのターニングポイントとなったプロジェクトを例に挙げ、その重要性を解説しました。

事例:ペットIoT事業「miruto」—“ぶれない軸”を打ち立てる言葉

新卒2年目の時、首藤氏はペットIoT事業「miruto」のブランディングプロジェクトにディレクターとして参加しました。当時の課題は、専任デザイナーが不在だったこともあり、アウトプットされるデザインのトーン&マナーが統一されていないことでした。

目指したのは「ロゴがなくてもmirutoとわかる状態」。プロジェクトを進める中、師匠でもあるアートディレクター山口氏から、ある提案がありました。

「mirutoらしさ、そのものに名前をつけよう」

それは、事業や組織を横断する30人以上のメンバーが関わる中で、アウトプットのトンマナを揃えるため、ブランドガイドラインそのものに、誰もが理解しやすく、愛着を持てる名前をつけようという試みでした。

こうして生まれたのが『mirufeuille(ミルフィーユ)』という言葉です。この『mirufeuille』という言葉が生まれてから、プロジェクトは大きく前進したと彼女は振り返ります。

「このアウトプットは、mirufeuilleを満たしているか?」

この言葉が、デザイナーだけでなく、プロモーションチームや他のメンバーにとっても「判断基準」となり、共通のキーワードになりました。その結果、当初はバラバラだった広告デザインなども、徐々に「mirutoらしい」デザインへと統一されていきました。

首藤氏はこの経験から、「チームにぶれない軸を打ち立てることの重要性」を痛感した、と語ります。

「もし、ただの『miruto brand guideline』という名前だったら、デザイナーに重きを置いたものになっていて、みんなが使う言葉になっていなかったと思うのです。誰もがポケットに入れて持ち歩けるような、親しみやすく、本質を突いた共通認識となる言葉。それを作ることこそ、デザイナーがすべきことであると確信した瞬間でした」

こうした経験を経て、彼女はデザイナーの役割について新たな気づきを得ることになります。

「デザイナーがすべきことは、UIやデザインを説明することではありませんでした。デザイナーがすべきことは、対話をつくることだけでした」

「新しい当たり前になる」ようなプロダクトは、デザイナーだけで作れるものではありません。多様な専門性を持つメンバーが一丸となって初めて形になります。そのために、メンバー同士が一緒になってサービスを考えていけるような、議論の土台となる「共通の言葉を出していくこと」。それこそが、プロジェクト推進におけるデザイナーの重要な役割だと首藤氏は結論づけました。

言葉の原点:デザイナー首藤舞央梨氏のデザイナージャーニーマップ

登壇では、今年のDesignshipのセッションテーマでもある「デザイナージャーニーマップ」を紐解きながら、こうした「言葉」の重要性に気づくに至った彼女自身の軌跡も公開されました。 幼少期の原体験から、デザイナーとして働く「今」に至るまでの道のり。そこには、彼女がなぜ「対話」や「言葉」を大切にするのか、その理由が強く結びついていました。


大学・大学院時代:伝えるための「言葉」のデザイン

首藤氏は佐賀大学の芸術地域デザイン学部、そして大学院へと進み、6年間デザインを学びました。彼女が学生時代のほとんどを費やして研究したのは、「持永只仁(もちながただひこ)」という一人の人形アニメーション作家でした。

持永氏は、戦中戦後、日本、中国、韓国で人形アニメーションの技法を伝え広げた「創始者」とも言える人物です。しかし、「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」や「ひつじのショーン」といった現代の人形アニメーションは広く知られているにもかかわらず、その礎を築いた持永氏の名は、クリエイティブ業界でさえほとんど知られていません。首藤氏の研究室には、持永氏が実際に制作で使った人形や、膨大な量の手書きのノート(制作日誌)が遺されていました。

「私たちは、この膨大なノートや人形を、多くの人に届ける形で整え、発信していくという活動をしていました。この膨大な資料を多くの人に伝えるために整えていた時間は、きっと、伝える言葉をデザインしていたことにつながるのではないか。社会に出てデザイナーとして働く中で、そう思えるようになりました」

首藤氏は学生時代の経験をこのように振り返りました。


リトアニア留学とハンドメイド作家:モノからコト(仕組み)へ

彼女の視野を広げたもう一つの経験が、リトアニアへの留学と、ハンドメイド作家としての活動です。

リトアニアでは、無数の十字架が並ぶ「十字架の丘」や、アーティストたちが独立宣言をした「ウジュピス共和国」など、アートと人々の暮らしが密接に結びつく文化に触れ、「どんな場所でもモノづくりはできる」という自信と、「クリエイターとして生きていきたい」という決意を固めます。

帰国後、学生でありながらハンドメイド作家として活動し、オンラインやショッピングモールでの販売を経験します。

「最初は自分が作ったアクセサリー(モノ)を売るだけで満足していました。ですが次第に、作家さんが集う『場所』や、作家と買い手を集める『スモールビジネスの仕組み(コト)』そのものに興味が移っていきました」

この「モノ」だけでなく「コト(体験や仕組み)」を作る楽しさへの気づきが、彼女をプロダクトデザイナーの道へと導きます。


「当たり前」を作る仕事へ

就職活動時、首藤氏はスマートフォンを眺めながら、オンラインで人と出会い、ネットでモノを買い、スマホで映像を見る、といったサービスが「『私たちの日常、新しい当たり前を作っている』と強く感じた」と語ります。

そんな「当たり前」を作るプロダクトデザインに携わりたいと考えた彼女は、レアゾンHDのビジョン「世界一の企業へ」、ミッション「新しい“当たり前”を作り続ける」に出会います。この言葉に強く共感し、入社を決意したといいます。


「言葉でつなぐ、言葉で届ける」

デザイナーとは、プロジェクトを共にする「仲間」と、その先にいる「ユーザー」の間に立ち、双方を言葉でつないでいく存在。人々をひとつにし、進むべき道を示す「旗」のような言葉を紡ぐことこそが、今、デザイナーに求められているのではないでしょうか。

首藤氏が語ったのは、単にビジュアルを作るだけではない、これからのデザイナー像。 原点となる「言葉」を生み出し、専門家たちとの「対話」を生むことで事業そのものを推進していく。それはデザイナーという職業の広がりと、新たな可能性を強く感じさせるものでした。

まとめ

今回の「Designship2025」への参加は、ブース、登壇ともに、弊社のミッションである「新しい“当たり前”を作り続ける」という姿勢を、多くの方々に知っていただく貴重な機会となりました。

レアゾンHDは、これからもデザインの力を通じて、まだ見ぬ「当たり前」を社会に届けるべく、挑戦を続けてまいります。

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RECRUIT
WRITER / YUKI MIZUGUCHI

コンサルティング会社の秘書としてキャリアをスタート。2019年にレアゾンホールディングスにジョインし、管理部として広範囲な業務に従事する。 2025年より、社内広報や商品広報を手掛ける。

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